98年4月1日から30日まで原宿で開かれていたPAANYARCOLEPSY&松本ハウス大美術展にあったキックさんの詩です。
会場で手書きで写してきたモノを元に起しているので、誤字、脱字等の可能性があります。
また、改行等も違っていると思います。
それを踏まえた上で、お読みくださいませ。
| 松葉杖に書いてあったモノ |
| 今度返します キック オレはいつまで生きているのだ いつまで生きているつもりなんだ |
| 優しい人は どこまでも冷く 冷い人は どこまでも優しい |
| いくらあなたが遠い人でも 星ほど遠くはないだろう いくらあなたが近い人でも 星ほど一緒にいないだろう |
| 少年が ネス湖にネッシーがいると うそをついた それを聞いたネッシーが ネス湖にやってきた |
| 短い人生 いかにさぼって 生きるか |
| 今日 空に月がなかった ということは 明日はちょっとあるだろう |
| 頑張れ!頑張れ!頑張れ! がんばれ!ガンバレ!ガンバレ ガン・・・バレ ガンにナレ ガンになれ がんになれ!がんになれ!がんになれ! |
| <幸せにとりつかれた少女> |
| 神様、どうか私を幸せにして下さい。私はいつも人の為に尽くしています。 いびつに曲がった手足や、ひねたなすびの様な顔、極端に内股の足、不便な自家用車に乗る体、 私はそれらの物を無償で世話してあげているのです。 物を食べさせたり、着ている物や者を洗ってあげたり汚物の後かたずけまでしてあげたり、私の手足 は一体何人の手足になれば気が済むというのです。更に街角に何時間もつっ立っての拾金活動、お 金が集まらなければ冷たい目で見られ、集まったところで見返りも全くないすべて無償で世話してあ げているのです。 神様、これだけの善い行いをしているのですから、必ず私を幸せにして下さい。私は幸せになりたい のです。いいえ、幸せにならなければいけないのです。今まで私がどれほど凄まじくひどい仕打ちを 受けてきたことか。人間なんてどんなに冷たく酷いものか。学校に行けば汚い、腐る、バイキンといわ れ誰も話してくれず、定期入れに入っていた好きなタレントの写真も目の前でビリビリに引き裂かれた り、体中の見えないあざなど毎日の事、除菌スプレーをかけられたり、教科書やノートに落書きされた り、生きていたいと思った日があったでしょうか。道徳の時間には私の事がよく話されました。偉い、 先生という方が「差別を無くそう」だの「なぜみんなこの子を差別するのか」だの正義感ぶって話してい ましたが、その時間が終われば誰一人としてそんなこと口にする人はいませんでした。勿論その偉い 方も。それでも私は死ななかったのです。必ず幸せになれる日を信じて。だからどうか神様、私を幸せ に、人の為に尽くせば幸せになれるのでしょう、ね、神様。私はこれからもこの不良品の為に無償で 手足をかしてあげますから、幸せに、必ず幸せにして下さいね。でも、この物たちは幸せなのかしら? 幸せなわけないわよねそんな物で。あっまたおしっこを、しょうがないわ、お風呂に入りましょう。あなた を入れてあげるのよこの私が。入りましょうね、熱い、熱いお風呂に、二度とおしっこを漏らさないように ね。あら、嫌ならよしてもいいのよ、そんな物で逃げられるというのならね。あぁ神様、一刻も早く私を幸 せにして下さい。 |
| 小学生の頃、庭先でスズメ蜂に襲われ とっさに足元に落ちている棒切れを手にした ブーン 棒切れがスズメ蜂を打ちのめした 地上でちぎれかけの下半身をつなぎとめ たくみに全身を痙攣させるスズメ蜂 それを見てうれしくなった |
| <美しい少女> |
| 一、これから私は自殺をします。この小刀で、私のこの腹部を切り裂きます。血は弾けとび内蔵は落下し、 全身を醜く引き攣らせながら、私の呼吸は徐々に消えて行くのです。嘘ではありません。すべてこれから 今ここで、あなたの目の前で起こる事実なのです。お願いです。あなたに私の最後のお願いを聞いて欲し いのです。もし、私が、これから自らの刃によって切り裂かれる私が、まんがいち呼吸を続けていたなら、 そんな確率0%なんですが、その時は私の呼吸が消え去るまで、私に口づけをしていて欲しいのです。そ っとでいいんです。本当にそっとで・・・。報酬は私の所持する物すべてを差し上げます。流れ星より速い車 、月より白く輝く石つぶ太陽のたくさん遊びに来る家、そして私のこのオーロラでできたドレスや、私の黒く 光る長い髪もすべてあなたに差し上げます。手続きの書類は、ほらここに用意してあります。ささやかでは ありますが受け取って下さい。お約束願えますね。今ここであなたがお約束下されば私はすぐにこの刃に 命を与える事ができるのです。 二、あー痛い、なんて痛いの。でも見て下さい、ほら、血が私の血が弾けとんでるわ。これが私の血・・・。 この刃がわたしのドレスと私のおなかを切り裂いてくれたのね。あっ、今なにか落下したわ。まぁ私の内臓 じゃないかしらん。どんどん落下して、史上最大の作戦ね。ほら見て、この細い長い管、これは恐らく腸よ。 大きなみみずみたい、あぁ汚らしい腸。そしてドレスも真っ赤に汚れて、どんどん汚くなるわ。どうですか、私 は、まだきれいですか?ドレスが引き裂かれ血が弾けとび、内臓が落下してもきれいですか・・・。どうして 答えてくれないのです。どうして・・・。私はこれから死んで行くと言うのに、答えてください。えっ、それは本 当ですか、本当に私はまだきれいなの。あぁひどい、あなたはなんてひどい人なのかしら。『それでもあなた は美しい』だなんて。やはりこの顔が、誰よりも美しい私のこの顔が。あなたのせいよ。あなたが悪いんだか ら。私はこれからこの美しい顔を切り裂かねばなりません。目玉は垂れ下がり、鼻の穴は大きく一つに開か れ、ほほの横から歯茎がのぞき見えるまで。あぁなんてすばらしく醜いのでしょう。醜く汚らしく、一切の美を 削除して、そして死んで行くの。でも約束は守って下さいね。私の呼吸が続く限り口づけをしてくださいね、だ って、あなたも私に『美しい』と言ったんですから。 |
| <箱入り少年> |
| 同志諸君 私を裏切らないでほしい 同志諸君 私を見捨てないでほしい 同志諸君 私を思い出してほしい 共に行動を起こした私を。我々は共に激励し奴を打ちのめそうと、我らが前にひれ伏せさせ大いに笑いのめし てやろうと、こんなにも素敵な痛快を共に謀略したではなかったか。−−の希望がそこに存在したではなかっ たか。我が同志よ。我々は苦しんでいた、毎日の苦汁に満ち溢れた黒いゼリーの中に自分自身を沈めて。黒 いゼリーは我々の体を覆いつくし全身のあらゆる穴から侵入し−口、鼻、耳、はもちろん膣や肛門や毛穴の隅 々まで入り込み−我々の精神の流出を阻止しようとする。その精神を声にしようものなら、喉の奥まで黒いド ロドロが侵入し殺される程圧迫される。肉体から精神のみ隔離され地獄の闇でプロメテウス的半永久の拷問 を受ける。やがて精神はその事実に耐える力を失い、自らその存在を消去してしまう。我々の精神もすでに我 々自身によって消去されようとしていた。同志諸君よ、思い出すがよい。−−の消えかかった精神がそれを拒 絶し、黒いゼリーに抵抗しようと立ち上がったではなかったか。なのに同志よ、なぜ精神を消去してしまうのか。 教えてくれなぜだ。奴が、奴が死んだのは我々の責任ではない。奴は勝手に死んだのだ。我々は殺しちゃい ない。決して殺してはいない。奴は笑っていた。黒いゼリーを纏いながら・・・。バットが折れる程殴ってやった。 『やめて下さい』と泣きだした、いつも笑ってた奴が大声で泣き出した。なんて気分がいいんだ。腹を蹴り上げた、 何度も何度も蹴り上げた。奴は逃げ惑い土にしがみつき言った。『助けて下さい、助けて下さい』笑った。蹴られ た相手に助けを求めるその矛盾に。祖父の形見という時計をドブ川に投げ捨てた。一目散にドブ川に飛び込み ドブ水をさらう。汚く臭い黒い水が、奴にぴったりの黒い水が涙のように奴の頬をつたう。見ただろう、これが我々 の力だ。こうしてやるのだ。同志諸君、明日もそこへ集まろうではないか。奴を打ちのめすのだ。家に隠れていて も黒いゼリーは襲ってくるぞ。プロメテウスになりたくなければ奴をいじめるのだ。精神を消去した奴は腐る程い る。奴を奴らが生息する限り、バットで打ちのめし、腹を蹴り上げ、ドブ川に沈めいじめ抜くのだ。それが我ら同志 の謀略した素敵な痛快ではないか。さぁ、早くここから俺を出せ。早くこの鉄格子を取り外せ。何をしている、出せ ったら出せ。ここから出たらまだ生きてる奴をいじめてやる。いじめいじめいじめてやるのだ。 |
泥棒がキックさんの詩の大半を持って行ってしまった為、これだけしか書き写す事が出来ませんでした。
行くたびに、少しずつ書き写そうと思っていたのに。
これ以外の詩を書き写された方、良かったら教えていただけるとありがたいです。